マスクを外した瞬間の表情の変化が素晴らしい。最初は冷たく見えた黒服の彼女が、実は誰よりも傷ついていることが伝わってくる。眼鏡をかけた少女との対比が鮮やかで、言葉にならない感情のぶつかり合いが見事。ネットショートでこの密度の高い演技が見られるのは贅沢だ。
床に落ちたカードを拾うシーン、あの手の震えが全てを物語っている。プライドと現実の狭間で揺れる心が透けて見えるようだ。黒い服の女性が最後に優しく抱きしめる展開は、救いがありすぎて逆に切なくなる。『十七の春に実る梨』の世界観に深く引き込まれた。
涙を拭く赤い布の質感まで映像が捉えていて驚いた。乱暴に見える行動の中に、相手を傷つけたくないという繊細な愛が隠れている。二人の距離感が絶妙で、観ているこちらまで息が詰まるような緊張感があった。短編ながら長編映画以上の余韻を残す作品だ。
セリフが少なくても、二人の瞳の動きだけで物語が進行していく。黒いジャケットの女性の強がりと、眼鏡の少女の純粋さがぶつかり合う様子は、まるで現代の演劇を見ているよう。『十七の春に実る梨』という題名通り、未熟さが生む痛みと美しさが描かれている。
全てを許すような最後のハグが神シーン。これまでの冷たい態度が嘘のように、温もりが画面から溢れ出してくる。カードを渡す時の冷徹さと、抱きしめる時の優しさのギャップにやられた。この作品は人間の複雑さを優しく包み込んでくれる。