前半のモダンで冷たい雰囲気の部屋と、後半の温かみのある昔ながらの家の対比が素晴らしい。刺繍をする女性の手元や、プレゼントを渡す男性の優しさが心に染みる。愛は夜風に乗っての中で描かれる二つの家族の物語が交差する予感がして、これからどう絡み合っていくのか気になって仕方がない。
白いセーターの青年が抱える悩みと、赤いセーターの女性が受け取るプレゼントの対比が切ない。母親が手作りの靴底を縫う姿と、都会的な服装の女性たちの会話から、世代間の価値観の違いや家族の絆が浮き彫りになっている。愛は夜風に乗ってという詩的な題名が、この複雑な人間関係を優しく包み込んでいるようだ。
緑のベストの男性が渡した袋から出てきたピンクの布の花が印象的だった。手作りの温もりと、それを喜ぶ女性の笑顔がほっこりする。一方で、最初のシーンでの緊迫した空気感とのギャップが激しく、物語の伏線が張り巡らされている気がする。愛は夜風に乗っての登場人物たちの心情が、小道具一つ一つに込められているのが素敵。
電話を切る瞬間の青年の眉間のシワや、年配の女性が話しかけるときの目元の動きなど、セリフがなくても感情が伝わってくる演技力が光る。特に赤いセーターの女性がプレゼントを開ける時の驚きと喜びのグラデーションが自然で、見ているこちらも幸せな気持ちになる。愛は夜風に乗ってのキャスト陣の演技に引き込まれる。
白を基調とした清潔感のある部屋と、赤や茶色で彩られた温かい部屋の色彩設計が絶妙。登場人物の服装も、白のニット、赤いカーディガン、緑のベストと、それぞれの性格や立場を色で表現しているようで面白い。愛は夜風に乗っての映像美は、色彩心理学をうまく使っているのではないかと推測してしまうほど計算されている。