夜の道路に一人佇む姿から始まる不穏な空気感がたまらない。数式が浮かび上がる演出は、主人公の頭脳明晰さと狂気を同時に表現していて痺れる。鉛筆一本の完全犯罪理論というタイトル通り、些細な小道具が巨大な悲劇の引き金になる展開は、見ているだけで背筋が凍るような緊張感があった。
ゴミ箱の上に立てられた鉛筆が倒れる瞬間、画面から目が離せなかった。あの一瞬の出来事が、その後の車内の修羅場へと繋がっていく因果関係が恐ろしい。王長江という人物の運命が、こんな些細なイタズラによって狂わされていく様子は、人間の脆さを浮き彫りにしているようで胸が痛む。
事故が起きた後の車内の様子が生々しい。派手な服装の男と運転手のやり取りから、単なる事故ではない何かが感じ取れる。血を流す女性や負傷した男性の映像がフラッシュバックするように映し出され、物語の深淵を覗かされた気分になる。専用アプリでこの濃密なサスペンスを見れるのは贅沢だ。
主人公が数式を操りながら計画を進める姿は、まるで科学者のようでありながら悪魔のようだ。自転車の男性が転倒し、車が急停止するまでの流れがあまりにも計算され尽くしている。鉛筆一本の完全犯罪理論というコンセプトが、映像の中で完璧に具現化されており、脚本の巧みさに感嘆するしかない。
暗闇の中で花に隠れて様子を伺う主人公の目が、獲物を狙う獣のように光っていた。復讐か、それとも何か別の目的があるのか。車内で怒鳴り散らす男の表情と、冷静に去っていく主人公の対比が鮮烈で、物語の続きが気になって仕方がない。この短編の構成力には脱帽だ。